富山の出版社 本づくりなら 桂書房

富山の小さな出版社「桂書房」。富山での自費出版、本づくりならお任せください。

関東下知状を読む

鎌倉時代、越中弘瀬郷(富山県南砺市)に領家と地頭の争いに幕府から下された「弘長二年完投下知状」が伝わる。長文でしかも難解な裁判記録を読み解くうちに今から800年前の郷土の歴史がおぼろげに見えてきた。

著 者:
一前 悦郎 山崎 栄
定 価:
¥2000(税込:¥2160)
発行日:
2017.10.10
判 型:
A5判
頁 数:
216 頁
この書籍に関するお問い合わせ

お問い合わせ・ご意見・ご感想は専用フォームよりお送りください。

目次

はじめに
第一章 弘長二年関東下知状を読む前に
1荘園史概観 
荘園公領制 
公領とは  
荘園の発生  
荘園領主と荘務権
 職の体系 
後三条天皇と王家の荘園
 武士の台頭
 鎌倉幕府と御家人・地頭の誕生
 二重支配  
新補率法と地頭の攻勢
 
2石黒荘弘瀬郷と藤原氏
 石黒荘の成立と石黒一族
 王家とのつながり
 石黒荘の分割
 弘瀬郷の藤原氏
 初代地頭藤原定直
 地頭職を世襲
 分割相続と柿谷寺の争奪戦
 
3弘瀬郷の土地構成 
 検注
 宝治二年内検帳
 見作田(除田と定田)
 新田と勧農田
 弘瀬郷の田地面積
 十三世紀弘瀬郷の景観
 
4名田の運営と荘民の負担
 名田と名主
 西国と東国
 地頭名と預所名
 年貢の種類
 雑公事
 夫役
 荘民の得分 

5地頭の押領と荘園の変質
地頭と下司の差
 新儀非法
 地頭請所と下地中分
 鎌倉幕府の裁判
 悪口と謀書
 二か所の市

第二章 裁許状にみる石黒荘弘瀬郷の荘園現場
1事書と署名
2地頭の存在
 判決1「地頭職事」 
3検注①~新田はだれのものか
判決2「弘瀬郷新田事」
4検注②~地頭名は十三町
 判決3「重松名田数事」
5地頭の権利~御服綿と加徴米
 判決4「御服綿事」
 判決5「加徴事」
6領地争い①~柿谷寺と千手堂の争奪戦
 判決6「柿谷寺事」
判決7「千手堂免田壱段事」
7領地争い②~高宮村の新田と新畠
 判決8「苅取高宮村新田作稲由事」
 判決9「押取高宮村新畠作毛由事」
8領地争い③~百姓の逃・死亡後の名田、勧農田、神田等
 判決 10「松本名苅田事」
判決 11「勧農田事」
判決 12「預所令落勘仏神田由事」
判決 13「大萱生名田参段見作 弐段事」
9雑公事
判決 14「漆事」
判決 15「山手・河手事」
 判決 16「節料・早初米・五節供事」
 判決 17「吉方方違幷預所下向雑事間事」
10地頭の身分と幕府の裁判
 判決 18「定朝京方事」
 判決 19「山田郷惣追捕使職事」
判決 20「弘瀬郷惣追捕使職事」  
判決 21「公文職事」
 判決 22「幸円吐悪口由事」
 判決 23「定朝・定時籠置強窃二盗事」
11市
 判決 24「天満・高宮両所市事」
12止まぬ地頭の押領
 判決 25「御服幷所当未進事」
 判決 26「地頭等押領百姓名田事」

第三章 その後の弘瀬郷における相論と和与
1弘安元年(一二七八)の和与
 「円宗寺領石黒荘内弘瀬郷東方領家地頭和与状」
 「円宗寺領石黒荘内弘瀬郷高宮村領家地頭和与状」
2正応二年(一二八九)の相論
 「関東下知状」 
3延慶四年(一三一一)竹内地内における和与
 「円宗寺領石黒荘弘瀬郷内竹内地頭藤原定継請文」
 「円宗寺領石黒荘弘瀬郷内重松名吉五方実検目録」
4元弘三年(一三三三)山本村における「地頭請所」契約
 「円宗寺領石黒荘内広瀬郷山本村雑掌地頭和与状」

弘長二年関東下知状全文
主な参考文献
関連年表
おわりに

関連書籍