富山の出版社 本づくりなら 桂書房

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No.2

▼昨年の出版点数は7点。 やっと年を越したという感じである。 やはり、 年間10点は出した方がいいかなと思ったり、 いや、 少ない点数でも各々完売の販売努力をした方がよいと考えなおしたりする。 6帖間の壁際に積み並べた在庫が今すぐ売れたら2冊分ほどの運転資金がすぐできるのにと、 うらめしくなる。 その一方で、 『越中中世史の研究』 『勝興寺古文書集』 や 『勝興寺と越中一向一揆』 はもう品切れであるが、 再版のメドがなかなか立たない。 2、30人の読者からの申し込みがあるのに申し訳ないことである。 『内山逸峰紀行文集』 も残り50冊しかない。
悶々としながらこの豪雪の冬の間、 著者まわりをした。 来年の企画の仕入れである。 難しそうなものほど、 やってみたくなるのは我ながら変だと思う。 たいていの企画は引き受けて帰路につき、 節操がない、 己の分をわきまえろと、 我と我を責めることが少なくなかった。 とにかく、 春になってそれらの企画が本物らしく成長しはじめたのを整理してみると、 約20点になっていた。 頼もしい限りであるが、 恐怖も大きい。 今年の後半からその成果がではじめると思う。 乞う期待。

 

▼地方出版といえども専門化すべき時代にきているという。 郷土の本というだけではもはや誰も振り向いてくれない。 地方を素材にしても汎く普遍的な力のあるものが望まれる。 読者の成熟に出版社の未熟では破綻をまぬがれない。 私は職業高校の出身で、 文学や歴史も好きだが、 自然科学も大好きなので、 専門化しようと思っても、 まだまだ無理だろう。 詩集や絵本を出してみたい。 動物図鑑や地質図も出してみたい。 北陸文学全集をやりたい。 とても欲が深いので、 私は私の中の多くの敵と毎日戦わなくてはならない。 そして、 最大の敵オカネと四六時中にらみあっていかねばならない。 (1985年6月1日 勝山敏一)