富山の出版社 本づくりなら 桂書房

富山の小さな出版社「桂書房」。富山での自費出版、本づくりならお任せください。

勝山敏一による随筆集です。桂通信図書目録の冒頭に収録されています。

No.19 新しい尺度を求める 「貧乏物語」

たかだか40年ほど前、 小百姓の倅で母子家庭の小学生だった頃を私はすっかり忘れていた。 『近代下層社会の研究』 のゲラを読んでいて、 あの貧乏の感触を急速に思い出した。 学校のたった10円の集金袋を母に差し出せないことが…

No.18 『納棺夫日記』 の全国ベストセラーで…

3月に上梓した 『納棺夫日記』 がこれまでに一万部を越えた。 小社が初めて経験する部数である。 原稿を読んだ時、 これは多くの方が待ち望んでいた本になるという予感がした。 中央の出版社に持っていかれることになるのでは、 …

No.17 「言いにくい事を言う」 ことで―

「言いにくい事を、 言いにくい人に向って言いにくい時に言う」 ことで、 民主主義というものはやっと息をつないでゆく―この名言を吐いたのは丹波の名もない農婦たちだという。 難しいことである。 この世で後悔することの半分は …

No.16 その言葉を言わせるもの―

「この世で大切なのは、 言葉なんかじゃないその言葉を言わせるものよ」 その人は叫ぶように言った。 若い頃だった。 発せられた言葉の一つ一つにもがき苦しんでいた私の眼からウロコが落ちた。 でも難しいんだな。 言葉の向こうに…

No.15 地球の危機は出版の危機……!

がらんとして何もない小さなアパートの一室に入ったのが1983年1月5日。 仲間どころか、 家族にさえ隠れての出発だった。 最初の原稿だけは既に印刷所に入れていたが、 これから始まる出版のことを誰かと猛烈に語り合いたかった…