3月に上梓した 『納棺夫日記』 がこれまでに一万部を越えた。 小社が初めて経験する部数である。 原稿を読んだ時、 これは多くの方が待ち望んでいた本になるという予感がした。 中央の出版社に持っていかれることになるのでは、 …
「言いにくい事を、 言いにくい人に向って言いにくい時に言う」 ことで、 民主主義というものはやっと息をつないでゆく―この名言を吐いたのは丹波の名もない農婦たちだという。 難しいことである。 この世で後悔することの半分は …
「この世で大切なのは、 言葉なんかじゃないその言葉を言わせるものよ」 その人は叫ぶように言った。 若い頃だった。 発せられた言葉の一つ一つにもがき苦しんでいた私の眼からウロコが落ちた。 でも難しいんだな。 言葉の向こうに…
がらんとして何もない小さなアパートの一室に入ったのが1983年1月5日。 仲間どころか、 家族にさえ隠れての出発だった。 最初の原稿だけは既に印刷所に入れていたが、 これから始まる出版のことを誰かと猛烈に語り合いたかった…
● 「メディアに描かれる女性像」 を発刊した。 様々な反響の中で、 私を脅えさせたのは 「あなたの家庭では女性差別はないのか」 という質問であった。 そう言われると本当に困ってしまう。 私は妻にこの本を見せられないのだ。…