新刊の結語近くで記される文言である。 五箇山の最深部、 桂という小さな村の分校に赴任した教師が、 ダム建設による1970年の離村まで村人たちと交流し、 村の最期を看取った手記 『さよなら、 桂』。 雪で壊れないよう地蔵様…
イラクで人質になり後に解放された3人の内の一人、 写真家・郡山総一郎さんが富山で講演された。 彼が言いよどんだところがある。 イラク人の死者の写真をスライドで映した時である。 カメラを死者に向けた時、 遺族から《お前はそ…
「俵も、 私らで編むがです」 私はテレビ画面に釘付けになった。 私の村の公民館からの生中継だった。 同級生が《盤持ち》に使う米俵を編んで見せていた。 11月22日、 新嘗祭の前夜に行なう江戸期からの村の行事。 15歳にな…
見出しは30年前、 公務員の僕がアルバイトでコピーライターをしていた頃、 広告紙面に書いた一節だ。 列島改造論で沸き返った後、 誰もが自然破壊の進んだことに気付きかけていた。その自然破壊をテーマに《手重し》という語を使っ…
「…13、4なる少女が34人うち連れてかの蓮華草を摘んでいた」 図書館で100年前(明治29年)の新聞を繰っていて、 ある随筆の一節が目にとまった。 「雪のような細い手が紅い花の上をさまよっているところなど実にどうも可愛…